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催眠玩具
第12章 二律背反

 乱暴な、決して心地良くしてくれるものではない余分な動き。
 それなのに、逆にそのことが私の心を波立たせ、悦びの虜囚とする。

 無理矢理動かされること、手加減のなさ、私のことなんか少しも顧みない愛のやり方。

 それが、それが……私を酔わせてしまう。
 もっと、もっとそうして欲しいと。

「あああ……そうっ……ああっ……してっ……もっとぉ……」

 気がつけば、身も世もなく私はねだっていた。
 せがみ、欲していた。これ以上を。

 もっと、もっと私を滅茶苦茶にしてくれる、これ以上の幻惑を。
 めくるめくその先の世界を。

「いいだろう……」

 高城のその言葉に、あっという間に期待がふくれあがる。
 本当はそんな場合じゃないのに。
 いけないことなのに。

 期待し、媚びる気持ちが支配的になってゆく。

「これから僕の肉で……貫いてあげる」

 その言葉の響きに私の心は色めき立ち、浅ましく飛びついた。
 欲しかったものは間違いなくそれだ。
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