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催眠玩具
第4章 堕落の遊戯
しかし実際にこうして体験してみると、それは想像以上に強力で、不気味だった。
自分の行動や考えをはっきりと意識はしている。
それなのに、ある特定の行動はどうしてもできないのだ。
体を覆い隠すこともそうだし、大声で叫ぶ、助けを呼ぶ。警察に駆け込む……ホテルから出てすぐに試みたそれらのことも全てできなかった。
そうしようと考えることはできる。
でも、いざそうしようとすると体が言うことを聞かない。
驚き、戸惑った後……クスクスという少年の忍び笑いで、ようやく私は逃げ出すことができないように、いつの間にか暗示を刷り込まれてしまっているというこに気づいたのだった。
「さ……乗りましょう」
電車がホームに入って来ると、少年は私を促して最後尾の車両の一番後ろのドアから乗車させた。
もちろん、彼もすぐ後ろについてくる。
「そのまま前の方の車両へと移動していきましょう……おっと、揺れますから気をつけて。ゆっくりでいいですからね……」