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催眠玩具
第4章 堕落の遊戯

「……ゲーム?」

 助かった。
 なんのつもりかは知らないけれど、彼の言葉で気がそれた。

 ガクッと力が抜け、私は思わず床にへばりそうになるのを堪える。
 その横を少年が通り抜け、サラリーマンの男の耳元に何事かを呟き始めた。

 そして私に向かってニコリと笑う。

「……催眠暗示をかけました。間もなくこの男は目覚めますが、彼には僕の姿は見えない。声も聞こえない。認識できるのはあなただけだ。そして、ゲームというのは、この男のアレを取り出させるというゲームです」

「アレって……?」

「男のモノですよ! 亜理紗……貴女がそうさせるのです」

「そんな……無理よ! どうやって……」

「それを自分で考えるのがゲームなんじゃないですか。できなければ罰を与えます……いや、それよりできたらご褒美のほうが嬉しいかな?」

 全く聞く耳を持たないで、少年はサラリーマンから離れると私の傍へと戻って来た。

「彼が目を覚ましたらスタートです。時間制限はありませんが……車内に人がいない内のほうが亜理紗のお願いは聞いてもらいやすいんじゃないかな……」
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