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催眠玩具
第6章 夢の叶う時
「……じゃあ、亜理紗って呼んでみて」
「えっ……」
冗談めかして言ったつもりだったけれど、不自然に聞こえなかっただろうか。
思わず口をついて出てしまった踏み込んだその一言に、「突然何を言い出すのだ」と私の心臓が抗議の早鐘を打ち鳴らす。
高城さんも驚いた顔をしている。
どう受けて止めていいかわからないんだ。
どうしよう……。
「あのっ……ほら、これからは女性の感性を特色にしていくといいって……高城さんがアドバイスしてくれたでしょう? だから……その一環として、下の名前で呼び合うのはどうかなって。今の話でもそうでしょう……そうしたほうが社員同時がもっと親密に信頼し合えるってことにならないかしら」
咄嗟に取り繕ってみせたにしては、いい理由だと我ながら思った。
本当にそうしてもいいかもしれない。
「でも、僕は社員では……」
「あの、高城さん……私」
成り行きだった。
でも、それも本心だった。
いつか言おうと思っていたことのひとつ。