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催眠玩具
第6章 夢の叶う時
「私……高城さんがアート・トリルの社員になってくれたらなって思っているわ……」
「若槻さん……」
「亜理紗って呼んでみて」
今度は私が彼を見つめる番。
少しためらったあと、彼が呟く。
「……亜理紗、さん」
さすがに呼び捨てにはしてくれなかった。
軽い失望。
でも、欲張ってはいけない。
夢はひとつずつ叶えていくものだもの。
私はニコリと微笑んでみせた。
「もう一回」
「亜理紗さん」
「もう一回……」
「亜理紗……さん」
「私は高城さんを信頼しています」
高城さんは呪縛から解かれたように、ふうっ……と、大きく息を吐き、それから笑った。
「……こりゃ、僕の負けだな」
それから数か月後、彼は会計事務所を辞めてアート・トリルに入社した。
そして私は……