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催眠玩具
第6章 夢の叶う時

 暗くて 壁時計の針が読めず、ベッドから降りて電灯のスイッチを入れようとしたとき、手に触れたのはスマートフォンだった。ベッドの上に置いたままになっていた。

 丁度良い、とロックを解除する。
 時刻は間もなく午後8時になる所だった。

 じゃあやっぱり一日寝ていたんだ……。
 欠勤してしまった?

「連絡を入れないと……」

 でも、こんな時間だ。今更……。

 と、そこで再び悪夢の断片が甦った。

 ――リフレッシュ休暇をとります……と。

 楽しそうにメールの件名を打つあの少年の姿。
 私の……私の、淫らな写真を添付して……!

 違う!

 夢……夢よ……あれは。
 何を慌てているの。
 心配しなくてもいい。ただの夢……現実ではない事なんだから。

 と、自分を落ち着かせつつも、画面を操作してメールを確認する。

「……ほら」

 メールの送信履歴には何も残っていなかった。
 アルバムにも変な写真などは何もない。

「本当に……夢……だったんだわ……」

 全身の力が抜けてゆく。
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