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催眠玩具
第6章 夢の叶う時
……と、その瞬間。
呼び鈴の大きな音が鳴り、思わず私は身をすくませた。
もう一度。
ピンポーンというチャイムの音が、薄暗闇の向こうから。
再び、胸の鼓動が早まる。
一体、誰……?
今にも闇の中からあの少年の不気味な白い笑顔が浮かび上がるのではないかと、幽霊を怖がる子供のような想像に震えあがる。
そしてまたチャイム。
更にもう一度。
大丈夫……そんなわけない。
勇気を奮い起こして恐る恐るベッドを降り、インターフォンの画面を覗く。
そこに映し出された、マンションのエントランスの呼び出しパネルの前に立っていたのは……
「高城……さん……」
どっと安堵の気持ちが押し寄せ、へなへなと床に座り込んでしまいそうになった。
けれど、高城さんがもう一度呼び出しのボタンを押そうとしてためらい……引き返す素振りをするのが目に止まり、慌てて通話ボタンを押さえる。
「待って……高城さん!」
「あ……良かった。いたんですね……亜理紗さん」
画面の中で高城さんが私の声に振り返る。
いつもの高城さんの声。
昨日だって会社で耳にしたはずなのに、あの夢のせいか……なんだかひどく懐かしく聞こえた。