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催眠玩具
第7章 新しい人生
女性スタッフばかりの職場の中に毎日身を置くようになった高城さんは、持ち前の如才なさを発揮し、以前にも増して誰とも分け隔てなく公平に接するようになった。
おかげで、独身の高城さんを巡っての無用ないざこざも、恋愛沙汰もないままやって来れたのだけれども。
当然、それは私とも何もないままということで……。
進展のないまま、私は秘めた想いを募らせるだけの日々を過ごして来た。
そんな事ばかりが頭の中を巡り、せっかく高城さんが説明してくれている「今日の出来事」も私は上の空で聞いていた。
せっかくの……初めて過ごす、私の部屋での二人きりの時間なのに。
そして、唐突に自分の間違いに気づく。
下心はないと自分に言い聞かせたけれど、それは嘘だ。
高城さんを招き入れたのは下心以外の何物でもなかった。
私の中のもう一人の私が、これはチャンスだと背中を押したのだ。
そうだ……これは転機。
何気ないクレーム対応の話題から、きっかけが作れたあの日と同じ。