この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
催眠玩具
第7章 新しい人生
この温もりだけで充分だったのに。
どうして私は……。
いえ、いつかは口にしなければいけない事。
そうだ、受け入れて貰うのには名前を三回以上……。
滑稽なほど混乱した思考が頭の中を駆け巡る。
「亜理紗……」
その声にようやく顔……きっと真っ赤になっているに違いない――を上げ、そして。
……私は凍りついた。
するりと力なく高城さんの手が私の手の中を離れる。
「帰さないよ……帰すわけがないじゃないか」
悪夢がそこにいた。
「……せっかくのお客さんを」
失神したように後ろに倒れ込んだ高城さんに、ソファの後ろから手を廻して……!
巻き毛の美少年。
天使の悪魔。
その体で私を嬲り尽くした……。
その声で人を操り、思いのままに玩具にする……あの少年が!
「夢じゃ……夢じゃなかったの……」
あまりのことに、呆然と呟く。
「違うよ、安心して……これは夢じゃない」
「あなたの事よ!」