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催眠玩具
第8章 ほんとうのこと
……まただ。
いやらしい妄想。
亜理紗はめまいを覚えて眉間に手を当てた。
本当にどうかしている。
一日休んだだけでたるんでしまったのだろうか。
「……亜理紗さん?」
「大丈夫……まだ、少し良くないの。昨日はごめんなさいね」
「酷い顔色……病院に行ったほうが」
「大丈夫だから……」
と、言いかけて思い直す。
「いえ、そうね……今日の予定って、どうなっていたかしら」
「午前中は取材で、もう少ししたら山木さんがいらっしゃいますけど、午後は特に」
「ああ、今日だったわね……」
取材。
それは高校時代からの親友、山木由美(やまきゆみ)からの依頼だった。
フリーランスの記者として地道に活動を続け、最近では海外でも仕事をするまでになった彼女は、亜理紗にとって数少ない相談相手の一人でもあった。