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催眠玩具
第8章 ほんとうのこと

 ペコリとお辞儀をして立ち去る未織の後ろ姿から、パソコンの画面に目を戻す。立ち上げておいたメーラーがトレイに新着メールをどっさりと受信していた。

「取材……か」

 どうやら結局、メールの処理はできそうもない。
 午後、病院へ行って、その後になりそうだ。

 となると、二日分……。

 かなり憂鬱な作業になりそうだったが、それでも間もなく由美に会えるのだと思うと、少し心が安らいだ。

 アポイントは貰っていたが、ここの所アメリカにずっと滞在していた彼女とは、久しぶりに直接会う。

「あっ……」

 そういえば、由美に名刺を渡したことがあっただろうかと思いつき、亜理紗は名刺入れを探した。

 由美と仕事で会うのは初めてだ。
 多分……きっと、まだ渡していない。

 名刺入れをバッグから出して開いてみると、丁度残り少なくなっていた。
 気づいてよかったと、ストックのケースが入れてあるデスクの引き出しを開ける。

「……?」
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