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催眠玩具
第8章 ほんとうのこと
最初、そこにある物が何か亜理紗にはわからなかった。
それは引き出しの真ん中に、無造作に置かれていた。
見覚えのない、仕事に使えるようにも思えない形をしたもの。
試供品か何かをしまっておいたのを忘れていたのだろうか?
首をかしげて手に取って目の前まで持ち上げる。
そしてそれが何であるかを理解した瞬間――「ヒッ……」という小さな悲鳴が喉の奥から込み上げた。
革製の首輪。
犬でもない、猫でもない、その直径。
卑猥なほどにギラギラした赤い色の――人間用の首輪。
それが、スイッチだった。
亜理紗の頭の中のヴェールがはがれおち、昨夜の出来事が明瞭となる。
残酷な忍び笑いを漏らすあどけない口。
「く、く、く……これで高城敬は変態男になった。指一本でも触れられたら、その女性に劣情を抱き、行為に及ばずにはいられない性欲の犬に……」
「ああっ……高城さん、許して……ごめんなさい……!」
居間で、ソファの上で、高城に抱かれながら亜理紗は頬を涙で濡らしていた。
「どうして泣くの? 亜理紗の望みの通りにしてあげたんだよ。彼を救いたければ方法はただひとつ」