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催眠玩具
第9章 美獣の檻

「……あ、あの……これから取材があるので、高城さんも同席してもらえますか?」

 苦し紛れだったけれど、我ながら良い考えだと思えた。

 これでとりあえず午前中の間は皆から高城さんを隔離しておける。

 特にサチは高城さんとやたらスキンシップを取りたがる。
 さっきの振る舞いでそれを思いだした。

 彼女の傍は危険だ。
 他意抜きでそう思う。

 不自然で恥をかいたけれど、大声を出したのも結果的に良かった。
 気勢をそがれたかのように、サチが手を引っ込めて椅子に腰かけるのを見て胸を撫で下ろす。

「ええ、いいですよ。記者の方って確か、亜理紗さんのお友達なんですよね?」

 そう言いながら高城さんは鞄を降ろし、私のほうに笑顔を向けた。

「……体調、戻りました?」

 ニッコリと付け加える。
 いつもなら、それだけでどんな体調でも回復してしまうというのに。

「え、ええ……」

 高城さんを心配させないような明るい声が出したかっけれど、上手くいかず、曖昧にうなずくことしかできなかった。

 そこへ未織がやって来た。

「山木さんがいらっしゃいました……」

 これでひとまず高城さんを会議室へと避難させることができる。

 しかし、それは大きな間違いだと……このあとすぐに思い知らされることになった。
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