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陽炎 ー第二夜ー
第1章 女郎蜘蛛
兵衛は籠を拾い、ある場所へ向かう。
着いたのはほど近い護国寺あたりの茶店。
兵衛はここで情報を集めるつもりだった。
寺には様々な参拝客が訪れる為、足を休める茶店がつきものだ。
そして茶店という場所には、情報が集まる。
まだ朝ということもあり、店に客の姿はまばらだ。
「いらっしゃいませ」
人のよさそうな主人が出てきた。
「これからご参拝ですか?」
「あぁ、いや。実は、私は物書きをしておりましてな。この辺りの巷説など、何か面白い話が聞ければと、回っている次第でして。
ご店主、もし、お時間が許せば、何か聞かせては頂けまいか?」
茶と団子を頼み、店先に腰掛ける。
如何にも話好き、といった様子の店主は、
「もちろん、ようございますよ。読本になるような面白い話かどうかはわかりませぬが、このような仕事をしておりますと、いろいろ聞き及ぶ事もございますので。」
そう言って話を聞く。しばらくは当たり障りのない噂話に近いものだったが、中には陽炎の話もあった。
店主はよもやその渦中の一人が目の前に居るとは思いもせず、過大に脚色された巷説を得意気に語る。
兵衛は苦笑し、聞き流した。
そして、幾つかの話の中に、兵衛が聞きたかったものが、ついに出た。
着いたのはほど近い護国寺あたりの茶店。
兵衛はここで情報を集めるつもりだった。
寺には様々な参拝客が訪れる為、足を休める茶店がつきものだ。
そして茶店という場所には、情報が集まる。
まだ朝ということもあり、店に客の姿はまばらだ。
「いらっしゃいませ」
人のよさそうな主人が出てきた。
「これからご参拝ですか?」
「あぁ、いや。実は、私は物書きをしておりましてな。この辺りの巷説など、何か面白い話が聞ければと、回っている次第でして。
ご店主、もし、お時間が許せば、何か聞かせては頂けまいか?」
茶と団子を頼み、店先に腰掛ける。
如何にも話好き、といった様子の店主は、
「もちろん、ようございますよ。読本になるような面白い話かどうかはわかりませぬが、このような仕事をしておりますと、いろいろ聞き及ぶ事もございますので。」
そう言って話を聞く。しばらくは当たり障りのない噂話に近いものだったが、中には陽炎の話もあった。
店主はよもやその渦中の一人が目の前に居るとは思いもせず、過大に脚色された巷説を得意気に語る。
兵衛は苦笑し、聞き流した。
そして、幾つかの話の中に、兵衛が聞きたかったものが、ついに出た。