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陽炎 ー第二夜ー
第1章 女郎蜘蛛
「旦那はどちらからいらしたんで?」
「実は、房州より出て参ったばかりでの。昨夜は小石川の方に宿を取ったのだが。」
「さようで。それでしたら、小石川の女郎蜘蛛の話はもうお聞きになりましたか?」
「いや、知らんな。そんな恐ろしげな話があるのか?ぜひお聞かせ願おう。」
店主の話によると。
小石川に、養生所を騙る一軒の家があり、そこには女郎蜘蛛と呼ばれる毒婦が棲んでいる、ということだった。
立ち寄った男を、死んだ亭主に似ていると騙って引っ張り込み、色を仕掛けて絡め取り、金も精も絞り尽くしてポイと捨てる、とい う…
ウメの事で間違いなかろう。金はせびられなかったが、持っていることがわかれば取られたのだろうか。
しかし、やはり死んだ亭主に似ていると言うのはただの手口だったということがわかった。
それどころか養生所でもないらしい。
それはまた手の込んだ演出であることよ。
まぁ、元々廃業した養生所であったのかもしれない。
看板も、半年前まで営業していたにしてはやけに古かった。
そう考えると全て得心がいった。
「実は、房州より出て参ったばかりでの。昨夜は小石川の方に宿を取ったのだが。」
「さようで。それでしたら、小石川の女郎蜘蛛の話はもうお聞きになりましたか?」
「いや、知らんな。そんな恐ろしげな話があるのか?ぜひお聞かせ願おう。」
店主の話によると。
小石川に、養生所を騙る一軒の家があり、そこには女郎蜘蛛と呼ばれる毒婦が棲んでいる、ということだった。
立ち寄った男を、死んだ亭主に似ていると騙って引っ張り込み、色を仕掛けて絡め取り、金も精も絞り尽くしてポイと捨てる、とい う…
ウメの事で間違いなかろう。金はせびられなかったが、持っていることがわかれば取られたのだろうか。
しかし、やはり死んだ亭主に似ていると言うのはただの手口だったということがわかった。
それどころか養生所でもないらしい。
それはまた手の込んだ演出であることよ。
まぁ、元々廃業した養生所であったのかもしれない。
看板も、半年前まで営業していたにしてはやけに古かった。
そう考えると全て得心がいった。