この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater44.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
寒さに爪先が痺れる。
昨夜の雨でぬかるんだ道は、凸凹のまま寒さで凍っていて。
どうかすると滑りそうで、酷く歩きにくかった。
そんな道を、慎重に杖で探りながら、あてもなく歩いた。
あの布団も持ってくのかな。
俺とトヨの汗の染みたあの布団で、トヨは新しい男に抱かれるんだろうか。
それとも所帯持つってことは布団くらい作ってくれんのかな。
相手はどんな奴なんだろう。
考えても仕方ないことばかり、グルグルと頭を巡る。
俺は、トヨのことが好きだった。
抱き心地のいい、ふっくらした身体。
本人は気にしてたけど、ふっくらした顔も。
顎に少し膨らんだ黒子があって。
仕事が髪結いだから、手は少し荒れてたけど、指が細くてしなやかで。
性格はきっぷがよくて、情に厚い。
でも、すごく可愛い声で啼く。
本当に、好きだった。
そのトヨを、他の女と同列に扱って、傷つけたのは俺だ。
だって、仕方ないじゃないか。
目が見えなきゃ、まともな職になんてつけやしない。
俺にはヒモが精一杯だ。
一人の女に、そんな負担掛けられない。
だから、養ってくれなんて言えなくて、今晩泊めてって、たくさんの女の家を渡り歩くのが関の山だった。
それが、女の矜持を傷つけたと言われたら、もうどうしようもないじゃないか…
歩きながら、涙が頬を伝う。
まだ人気もまばらだから、俺は気にせず歩いた。
泣いたら、また目が赤く腫れるのかな。
俺には見えないから、そんなの気にした事もなかったけど。
でもあの人に会った時、それを指摘されたんだ…
昨夜の雨でぬかるんだ道は、凸凹のまま寒さで凍っていて。
どうかすると滑りそうで、酷く歩きにくかった。
そんな道を、慎重に杖で探りながら、あてもなく歩いた。
あの布団も持ってくのかな。
俺とトヨの汗の染みたあの布団で、トヨは新しい男に抱かれるんだろうか。
それとも所帯持つってことは布団くらい作ってくれんのかな。
相手はどんな奴なんだろう。
考えても仕方ないことばかり、グルグルと頭を巡る。
俺は、トヨのことが好きだった。
抱き心地のいい、ふっくらした身体。
本人は気にしてたけど、ふっくらした顔も。
顎に少し膨らんだ黒子があって。
仕事が髪結いだから、手は少し荒れてたけど、指が細くてしなやかで。
性格はきっぷがよくて、情に厚い。
でも、すごく可愛い声で啼く。
本当に、好きだった。
そのトヨを、他の女と同列に扱って、傷つけたのは俺だ。
だって、仕方ないじゃないか。
目が見えなきゃ、まともな職になんてつけやしない。
俺にはヒモが精一杯だ。
一人の女に、そんな負担掛けられない。
だから、養ってくれなんて言えなくて、今晩泊めてって、たくさんの女の家を渡り歩くのが関の山だった。
それが、女の矜持を傷つけたと言われたら、もうどうしようもないじゃないか…
歩きながら、涙が頬を伝う。
まだ人気もまばらだから、俺は気にせず歩いた。
泣いたら、また目が赤く腫れるのかな。
俺には見えないから、そんなの気にした事もなかったけど。
でもあの人に会った時、それを指摘されたんだ…
![](/image/skin/separater44.gif)
![](/image/skin/separater44.gif)