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陽炎 ー第二夜ー
第1章 女郎蜘蛛

気がつくと、兵衛はうつ伏せのまま、眠っていた。目覚めると既に夕刻のようで、あたりが暗い。
慌てて起きようとし、灸を据えていたことを思い出し、足に目をやると、モグサの灰も取り除かれている。
起き上がり、立とうと杖を探すも部屋が暗く見当たらず、仕方なくウメを呼ぶ。
「ウメ殿、居られるか?」
「はい。」
行灯を持ったウメが現れ、部屋がぼうっと明るくなった。
「すまぬ、不躾にも寝てしもうたようじゃ。お暇したいのだが杖を知らぬか?」
「あら、もうすぐ夕餉の支度も整いますし、今宵はこのままお泊まりになってくださいましな。」
「いや、そこまで甘える訳にはいかぬ」
「表はもう暗うて不案内ですわ。そのおみ足では危のうございます。
もう、宿がお決まりでしたら籠なり呼びますけれど…お決まりですの?」
「いや、決まってはおらぬが…しかし、女子の一人所帯にいきなり泊まる訳には…」
「一人所帯だからこそ、殿方がいて下さると心安うございます。それに、話し相手がある方が楽しゅうございますし」
なにやらまたウメの調子に乗せられている気がしたが、ウメの言うことも尤もで、この刻限から宿を探して歩くのも大儀ではあった。
兵衛は軽い溜息を吐く。
「お言葉に、甘えても宜しいか?誠に申し訳ないのだが…」
「お気になさらず。すぐ夕餉の支度をしますから、お待ちくださいましな」
ウメはにこりと微笑み、部屋を後にした。
慌てて起きようとし、灸を据えていたことを思い出し、足に目をやると、モグサの灰も取り除かれている。
起き上がり、立とうと杖を探すも部屋が暗く見当たらず、仕方なくウメを呼ぶ。
「ウメ殿、居られるか?」
「はい。」
行灯を持ったウメが現れ、部屋がぼうっと明るくなった。
「すまぬ、不躾にも寝てしもうたようじゃ。お暇したいのだが杖を知らぬか?」
「あら、もうすぐ夕餉の支度も整いますし、今宵はこのままお泊まりになってくださいましな。」
「いや、そこまで甘える訳にはいかぬ」
「表はもう暗うて不案内ですわ。そのおみ足では危のうございます。
もう、宿がお決まりでしたら籠なり呼びますけれど…お決まりですの?」
「いや、決まってはおらぬが…しかし、女子の一人所帯にいきなり泊まる訳には…」
「一人所帯だからこそ、殿方がいて下さると心安うございます。それに、話し相手がある方が楽しゅうございますし」
なにやらまたウメの調子に乗せられている気がしたが、ウメの言うことも尤もで、この刻限から宿を探して歩くのも大儀ではあった。
兵衛は軽い溜息を吐く。
「お言葉に、甘えても宜しいか?誠に申し訳ないのだが…」
「お気になさらず。すぐ夕餉の支度をしますから、お待ちくださいましな」
ウメはにこりと微笑み、部屋を後にした。

