パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 女郎蜘蛛

暫くして。

夕餉の膳が運ばれてくる。

焼いた魚、茄子の煮浸し、揚げ出し豆腐、青菜の胡麻和え、豪勢ではないが、盛り付けも手が込んでいて、どれも美味であった。

「兵衛殿、御酒はお召し上がりに？」

そういって、冷えた徳利と盃を勧められる。

元々兵衛は酒に目がない。
ここまできて断る理由もないと、頂くことにした。

寡婦とは言え、綺麗どころ、と言っても差し支えない美女に酌をされて気の悪い男はいない。

兵衛も元来の酒好きも手伝い、ついつい盃が進む。

兵衛の話に耳を傾け、鈴を転がすような声で軽やかに笑う姿は華もあり、まるで遊廓に遊ぶような気すらする。

気付けば膳も平らげ酒も尽き、兵衛は酔いも回って眠たくなってきた。

どこまで支度が良いのか、続きの間には既に布団が敷かれている。

「お休みでしたらこちらへ。」

導かれるまま続き間へ移動し、そのまま布団に入って眠った。