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陽炎 ー第二夜ー
第4章 日常ーサチと八尋のその後ー
焼けて固まった肌には、触れられる感触も遠いものだったが、耳に舌の這う音と、八尋の息が伝わる。

八尋の舌が傷のない耳元に伸び、サチの背筋がぞくりと粟立つ。

ギュッと八尋に抱きつく腕に力がこもる。
八尋は耳を甘噛みし、舌を絡めた。

「サチ…耳がいいの?我慢しないで。声を出して。私に聞かせて…」

耳元で聞こえる、水気を含んだ舌の這う音と、敏感な部分を捏ねられるような刺激。

「あ…八尋、もぅ…やめて…お願い…」

かぶりを降り、八尋に抱きつくサチに、八尋は悪戯っぽく微笑み、秘処に手を伸ばす。

湯とは違う潤いを帯びているのが判る。

「そろそろ、上がろうか。」

二人で身体を拭き、単衣を着て寝間に戻る。



同じ部屋に市八も居るが、ぐっすり眠っているので気にしなかった。

八尋が行灯に火を灯す。

「明かりなんかつけて、市が起きちゃったらどうするの?」


「この程度で起きる子じゃないだろ?暗闇じゃ私が面白くないもの。サチのいい顔が見たくて、買ってきたんだから。」

そう言うと、風呂敷包みの中から箱を出し、蓋を開けた。

「何、コレ…」

サチの顔が引き攣る。

「張型。これでたっぷり可愛がってあげるよ。だって舌でしてる時はサチの顔が見れないもの。私にも楽しませてよ?」

サチの顔が見る間に赤くなっていった。

「いい声で、啼いてよ?」














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