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恋花火***side story
第14章 彼女と雪と涙
「さみーから早くしろ。」
理不尽なことを言っているのに、菜月は怒らなかった。
ただ、ごめんねと謝るばかりで。
本当は菜月は全然悪くなんかない。
だけどこのイライラをどうにも自分で処理できなくて、ただただ菜月にぶつけるしかなかった。
「…わかったよ、じゃあ行こ。」
菜月はラブホに行くことを了解した。
了解したはずなのに、今度は俺が行く気ゼロ。
「いかねー。」
そう言うと、それまで我慢してた菜月がちょっとイラッとし始めた。
「なんなのそれ。」
「うっせー。行く気なくなった。」
「あっそ。」
腕を組んだり手を繋いだり、仲よさげなカップルばかりが通りすぎる中
俺たちだけは、張り詰めた空気に包まれている。
「…じゃあ帰ろ?」
怒りを抑えつつそう言ってくる菜月に、俺はまた思ってもない事を言ってしまう。
「一人で帰れば?」
それでもまだ我慢してる菜月に
もっとひどい事を言ってしまいそうになる。
「…帰ればいいのね、わかった。じゃあそれ返して。」
菜月は先ほどの紙袋を返せと言った。
乱暴に持たないでと言われていたのに、気が立ってる俺はそれも忘れて、地面に強く置いた。
そしたら勢いでその紙袋は転んで、中から箱が飛び出した。
それを見た菜月はついに
_____キレた。
「タケルのバカ!ハゲ!うんこ!」
そう言い捨てて、その場からいなくなった。
…はぁ?
バカは認めるけどハゲでもねーしましてやうんこじゃねーし。
走り去る菜月の背中にため息をついて
地面に転んでる形の崩れた箱を拾い上げると、ふわっと甘い匂いが鼻をくすぐった。
正体不明だったやたらとデカイそれは
……クリスマスケーキだった。
外はいつのまにか雪が降っていて
しんしんと音がするくらい
降っていた。
理不尽なことを言っているのに、菜月は怒らなかった。
ただ、ごめんねと謝るばかりで。
本当は菜月は全然悪くなんかない。
だけどこのイライラをどうにも自分で処理できなくて、ただただ菜月にぶつけるしかなかった。
「…わかったよ、じゃあ行こ。」
菜月はラブホに行くことを了解した。
了解したはずなのに、今度は俺が行く気ゼロ。
「いかねー。」
そう言うと、それまで我慢してた菜月がちょっとイラッとし始めた。
「なんなのそれ。」
「うっせー。行く気なくなった。」
「あっそ。」
腕を組んだり手を繋いだり、仲よさげなカップルばかりが通りすぎる中
俺たちだけは、張り詰めた空気に包まれている。
「…じゃあ帰ろ?」
怒りを抑えつつそう言ってくる菜月に、俺はまた思ってもない事を言ってしまう。
「一人で帰れば?」
それでもまだ我慢してる菜月に
もっとひどい事を言ってしまいそうになる。
「…帰ればいいのね、わかった。じゃあそれ返して。」
菜月は先ほどの紙袋を返せと言った。
乱暴に持たないでと言われていたのに、気が立ってる俺はそれも忘れて、地面に強く置いた。
そしたら勢いでその紙袋は転んで、中から箱が飛び出した。
それを見た菜月はついに
_____キレた。
「タケルのバカ!ハゲ!うんこ!」
そう言い捨てて、その場からいなくなった。
…はぁ?
バカは認めるけどハゲでもねーしましてやうんこじゃねーし。
走り去る菜月の背中にため息をついて
地面に転んでる形の崩れた箱を拾い上げると、ふわっと甘い匂いが鼻をくすぐった。
正体不明だったやたらとデカイそれは
……クリスマスケーキだった。
外はいつのまにか雪が降っていて
しんしんと音がするくらい
降っていた。