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恋花火***side story
第16章 New LIFE
イライラした。


「いい飲みっぷりー♡」


気を紛らわすようにゴクゴク飲んだ。


「…ねぇ、タケル君って彼女いるの?」


隣に来たユリ先輩に問いかけられる。


「…いないっす。」

「好きな子は?」


菜月の顔が浮かんだけど、あいつだって今男と遊んでるし。


だから、好きな子もいないって答えた。


素直じゃないと自分でも思う。


ユリ先輩は顔を覗き込んできて、「可愛いね」と言った。


…可愛いって、親にも言われたことない…


なぜだか頭がボーッとしてきて、すぐ近くにあるユリ先輩の顔をただ眺めていた。


…大きな瞳。


でももしかしたら、菜月の方がでかいかも。


菜月はいつも笑ってるから目細くなってるけど、真顔の時は結構お目目クリクリなんだよね。


ニッコリ微笑むユリ先輩。


…えくぼないんだな。菜月は両頬にえくぼが出て、それがまた可愛い。


「もっと飲む?」


おかわりをした。


ユリ先輩は歯並びもすげー整ってる。


菜月は歯並び悪くないけど、八重歯が尖ってて、動物みたいになってる。


キスする時に歯をなぞって、その八重歯も全部なぞる。


八重歯尖ってんなって言えば、タケルもねって笑う。


菜月が言うには、俺のは吸血鬼並みに尖ってるって言う。


吸血鬼って。笑


菜月の血は吸い取れないけど、その他のエキスはことごとく吸い取っちゃうよ。


そう言うと菜月は、えくぼ全開にして笑うんだよね。


「…菜月」

「えっ?」


うっかり菜月の名前を口に出してしまった。


俺ってバカ?心の声がつい漏れる。


「…菜月ちゃんに会いたいの?」


ユリ先輩に聞かれた。


そこで俺は、頷いた。


会いたい


なんかムカつくけど、会いたい。


理由はわからないけど。


するとユリ先輩は、「ダーメ」そう言って、顔を近づけてきた。


「えっ、ちょっ、」

「…キスくらいいいよね?だってタケル君可愛いんだもん。」


キスくらいって


キスは大切でしょ?


俺は好きな子以外となんて出来ない。


菜月じゃなきゃ…


出来ない。
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