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恋花火***side story
第3章 ABC-Z
結局夏休みは、沢田ユズキと会わないまま終わりそう。


……と、思っていたら


「今日の夜会えない?」


って、夜になってから連絡がきた。


沢田ユズキが言うには、夏休み最後だから、みんなで集まろうってことらしい。


ちょうど同じタイミングで、スイからも連絡が来た。


みんないるなら、まぁいいか。


そう思って、行くことにした。


待ち合わせ場所は学校近くの公園。


何人か揃うと、みんなで出かけたのは海。


……の近くの、誰かの家。


中に入ると、めちゃくちゃタバコくさい。


そして誰かが持ってきた缶ジュースが、次々と床に並べられた。


「陸どれにする?」


沢田ユズキが隣に来て、くっついてきた。


すると周りから冷やかされた。


こういうのちょっと苦手。どう反応したらいいかわからないでいると、「まぁ飲もうよ」って、ジュースを手渡された。


「……甘い。」

「でしょ?」


隣では沢田ユズキもゴクゴク飲んでいる。


いつもは炭酸なんか飲まないけど、喉も渇いていたし、一気に飲み干した。


「グイグイいくねー。もっと飲む?」

「うん。」


もう一本手渡され、それもすぐに飲み終えた。


しばらくすると、なんだか身体が火照る。


「……暑くない?この部屋。」


すると沢田ユズキは、脱いじゃえば?そう言って、羽織っていたシャツを脱がせてきた。


「……陸、好き。」


みんながいるのに、沢田ユズキは抱きついてきた。


「ちょ、やめろよ……」


抵抗するも、なぜか身体に力が入らない。


それどころか、今日は沢田ユズキに触れられたところが熱くなってゆく。


「おおー!」


周りが騒ぎ出す。


俺たちのキスシーンで。


「……陸?」


俺、本当はこういうの苦手なはずなのに。


キスはもとより、人前でとか、絶対あり得ないって思っていたのに。


今日はしたくてしたくて、たまらないキス。


沢田ユズキの唇は、今まで何とも思ったことがないけれど、ぷっくりしていて魅力的だという事に気が付いた。


俺は我を忘れ、ただただキスに没頭した。







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