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恋花火***side story
第3章 ABC-Z
「ゴムつけなくてもいいよ。」


あれから、沢田ユズキはSEXのとき、そう言うようになった。


「いや…、でも。」

「じゃないと陸無理じゃん。」


俺は相変わらず、最後まで維持することが出来ずにいた。


原因はわからないけど、やってる最中に萎える。


それは沢田ユズキと俺の温度差がそうさせているのか、定かではないけれど。


「つけなくても無理かも。」言いかけてその言葉は飲み込んだ。


「だって、酔った時の陸すごい良かったもん。」


もう一度あんな風にして、と、沢田ユズキは言った。


たぶん、俺にはまだその行為は早いんだと思う。


身体も心もついていかない。


「そういえば。」


急に思い出したように沢田ユズキが言い出した。


「あの子と話すのもうやめて欲しいの。」


あまりに唐突すぎて、なんのことかわからなかった。


「あの子って?」

「陸と同じクラスの、髪の長い…」


そこで、ピンときた。


「…なんで?」

「…友達がね、夏休みに陸とその子が一緒にいる所を見たって言うの。本当?」

「あー、まぁ。一緒にいたよ。」

「あたしといるより楽しいの?」

「そこは比べるとこじゃなくない?」

「どうしてその子とは夏休み中に会うのに…」

「たまたまだって。」

「嘘!」

「本当だよ。茜とはただの友達だよ。」

「ふーん。その子のことは名前で呼ぶんだ。あたしはいつまでたっても苗字なのに。」


……なんかもう、面倒くさい。なんで怒ってんのか全然わかんねー。


「…ごめん。」


とりあえず謝ったのに、なぜか泣き出すし。


俺は面倒くささに負け、「もう話さなきゃいいの?」そんなことを言ってしまった。


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