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恋花火***side story
第22章 サマーラブ
なんで郁の名前が出るのか不思議に思い、茜に言われるがまま、郁に聞いた。


すると郁は、「嫌われちゃったかなー」とかってヘラヘラし出した。


「は?なにがおかしいの?」

「…や、俺言っちゃったんだよね。」

「…なにを?」

「気持ち悪いって。」

「は!?」


気持ち悪いってなんだよ?


茜になんてこと言うんだよ!


カッとなった俺は郁をまくしたてた。


なんて言ったかまでは興奮してたから詳しくは覚えていないけど。


まさかあのことを茜は暴露したのか?


ずっとひた隠しにしてきた"あのこと"


郁はくくっと笑って言った。


「陸の彼女にでもなりたいのか?って。だったら無理だって言ったらキレた。」


…は?


郁からは、全くの見当違いの答えが返ってきた。


「彼女…?は?」

「甲斐甲斐しく看病したり飯作ったり。狙ってるのバレバレなのに否定してきてさ。そーいうのキモいって言った。」

「茜は本当に俺のことはなんとも思ってないから!」

「いや、好きっしょ。」

「絶対違う!!」


100%ないと言い切る俺を郁は不思議そうにしていた。


なぜ言い切れるのか理由は言えないけれど。


だってそれは茜との約束だから。


"あのこと"を秘密にするとあの日約束したんだよ。


「…まぁ陸には好きな女いるから無理って言っといたけどね。」

「余計なことするなよ!」


もう訳がわかんない。


そうだよ


俺には好きな女の子がいる。


きっとずっと好きだったけど


それを認めるにはだいぶ時間を要したけれど


"恋する気持ちは誰にも止められないよ"


そう背中を押してくれたから


…それは茜なのか誰なのか、わからないけれど…








そのあと、茜に何度も着信を入れたけれど、一度も返事はなかった。


そのうちに夏休みは終わり、新学期。


そこで俺は信じられない噂を耳にする。


茜とタケルが付き合っているらしいという


にわかには信じがたい噂を。
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