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恋花火***side story
第23章 満員電車
菜月ちゃんはユリの前で、涙を流さなかった。
だけどその大きな瞳から、今にも溢れてしまいそうな涙。
別にフォローしたかったわけじゃない。
ほぼ無意識に、声をかけた。
菜月ちゃんをその場から逃がした。
「…ユリ。やりすぎ。」
「だって!陸が辛そうなの見てられないんだもん!茜がいる限りずっと辛いでしょう?」
…おまえ、俺のなにを知ってんの
どこ見てるわけ?
俺はちっとも傷ついてないし
悲しくもない
そもそもおまえは俺よりも、タケルを盗られてイラついてんだろ?
わかってんだよ
「…とにかく、菜月ちゃんになんだかんだ吹き込むなよ。」
「茜のことフォローするなんて優しすぎるよ。」
違う
俺は優しくもなんでもない
むしろ冷酷で
平気で人を裏切る最低な男
"八方美人"
"大っ嫌い"
茜はきっと俺の本性を見抜いていた
茜に言われなくとも
俺は自分が大嫌い
「もう大丈夫だよ」
初めて電車で声をかけた。
知らないふりなんか出来なかった。
君が恐怖に震えているのに
知らないふりなんか出来ない。
菜月ちゃんとはその日から、よく話すようになった。
部活中目が合えば、笑顔をくれる。
その笑顔に引き込まれる。
わかってる
タケルの代わりになんかなれないこと。
だけどひとつ言葉をかわすたびに
君が笑うたびに
止まらなくなっていく
欲張りになっていく
……だけど大丈夫
やめようと思えばいつだってやめれられる
俺もあの頃より少しは大人になった
14歳のあの頃よりも
15歳のあの頃よりも
大人になったから
人のものにハマったりなんかしない
だから
_____大丈夫。
だけどその大きな瞳から、今にも溢れてしまいそうな涙。
別にフォローしたかったわけじゃない。
ほぼ無意識に、声をかけた。
菜月ちゃんをその場から逃がした。
「…ユリ。やりすぎ。」
「だって!陸が辛そうなの見てられないんだもん!茜がいる限りずっと辛いでしょう?」
…おまえ、俺のなにを知ってんの
どこ見てるわけ?
俺はちっとも傷ついてないし
悲しくもない
そもそもおまえは俺よりも、タケルを盗られてイラついてんだろ?
わかってんだよ
「…とにかく、菜月ちゃんになんだかんだ吹き込むなよ。」
「茜のことフォローするなんて優しすぎるよ。」
違う
俺は優しくもなんでもない
むしろ冷酷で
平気で人を裏切る最低な男
"八方美人"
"大っ嫌い"
茜はきっと俺の本性を見抜いていた
茜に言われなくとも
俺は自分が大嫌い
「もう大丈夫だよ」
初めて電車で声をかけた。
知らないふりなんか出来なかった。
君が恐怖に震えているのに
知らないふりなんか出来ない。
菜月ちゃんとはその日から、よく話すようになった。
部活中目が合えば、笑顔をくれる。
その笑顔に引き込まれる。
わかってる
タケルの代わりになんかなれないこと。
だけどひとつ言葉をかわすたびに
君が笑うたびに
止まらなくなっていく
欲張りになっていく
……だけど大丈夫
やめようと思えばいつだってやめれられる
俺もあの頃より少しは大人になった
14歳のあの頃よりも
15歳のあの頃よりも
大人になったから
人のものにハマったりなんかしない
だから
_____大丈夫。