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恋花火***side story
第24章 DAYS
茜は全てを暴露した。


菜月ちゃんに真正面から向き合い気持ちを伝えた。


……その気持ちを伝えるまでに、どれほどの勇気が必要だっただろう。


タケルも茜も真っ直ぐに想っているのに


俺だけが一人、逃げている。


シンデレラの魔法が解けるかのように


幸せな時間は一瞬で消え去った。


これもまたわかっていたこと。











その日、どうしても一人でいたくなくて、郁のアパートにスイを呼び出した。


「陸から呼び出しとか珍しい」

「…そう?」

「うん。」


言われてみればそうかもしれない。


誰かを頼るとか、弱音を吐くのはカッコ悪いと思っていたから。


だけど今日は一人でいれそうもない。


目を瞑ると浮かぶのはやっぱりあの子の顔で。


先ほどまで身体を重ねていたのは夢だったのではないか


それとも今が夢?


どっちにしろ、現実味がなく、何かフワフワしている気がする。


魔法が解けてしまったせいなのか、俺は人が変わったようにスイに全てを吐き出した。


しばらく黙って聞いていたスイが、ポツリと呟く。


「…陸って実はアツイよな。」

「アツイって言われたことねーけど。」

「一見スカしてっけど。」

「スカしてません。笑」

「茜の言う通りだよ。簡単に手離せるくらいの気持ちなわけ?」


……手離したくなんかないよ


そばにいたいよ


だけど


「…こわい?」


俺の過去を知っているスイにはお見通し


そうだよ


怖いよ


すごく怖い


夢中になって、抜け出せなくなって


これ以上好きになる前に


手放せなくなる前に


「……怖い……」


口に出した瞬間


目から涙が溢れた


だせー


カッコ悪い


俺はやっぱり15歳の頃から何ひとつ大人になっていないみたいだ


簡単に涙は出るし


ダメだとわかっているのに手離したくない。


まるで。手に入らないおもちゃのことを


欲しい欲しいと駄々をこねる


子どもなんだ。






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