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恋花火***side story
第28章 闘うオンナ
菜月と話さなくなってどれくらい経ったかな?


それはほんの少しなんだろうけど、俺にとってはすげー長く感じる時間。


大げさ?


だってそうじゃん。


気づいた頃からずっと隣にいた奴が自分の世界からいなくなる。


それって気の遠くなるような途方もない話だよ。


「ねぇ」


菜月が隣にいなくなっただけで、まるで別世界に来たみたいな


そんな感覚。


「ねぇってばー」

「うわぁ!」

「ふふ。タケル君もここ弱いんだぁ」

「それセクハラっす!!」

「私男に興味ないもーんだからセクハラじゃございません」


そういう問題か?


茜先輩が際どい部分をくすぐってくる。


「ちょ、やめてくださいうひゃははは」

「おもしろーい」


くすぐりに弱い俺は涙流して喜んだ。いや、喜んでない!!


「おやめなさい!」

「はい。」


素直な茜先輩にビビりつつ顔をあげると、


「…あ。」

「…私さ、よく陸に言ってたんだぁ。泣いてる時は知らないふりするもんだよって。だけどさ…」

「はい。」

「なんか今猛烈に慰められたいっ…」


茜先輩は大粒の涙をボロボロ流して泣いていた。


「好きな人が幸せならいいって思うけどさぁ…いざそうなると辛いね。」

「…そうですね。」

「波乱のひとつでも起こしたくなるよね」

「そうですね…ってならないですよ。」


俺と茜先輩の好きな子は一緒。


だから俺たちは所謂同士ってやつ。


「…でも俺、慰め方わかんない。」

「ほんとにバカ正直だよね。」

「だって本当にわからなくて。」

「…もういいや。なんかタケル君と話してたら、バカバカしくなってきた。」


それってけなしてんの?褒めてんの?


わからないけど茜先輩の涙は止まってたから安心した。


「…陸と菜月ちゃん、もうキスしたのかなぁ?」

「…どうでしょうね。」

「するだろうなぁ。しないわけないよね。陸菜月ちゃんのこと大好きだもん。」

「…そうなんですか…」


陸先輩は菜月のこと好きなのか…


そうか…


現実を突きつけられた瞬間だった。
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