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恋花火***side story
第28章 闘うオンナ
その数日後


学校行こうとして家を出たら


菜月に遭遇。


ずっと電車でも会わなかったのに、いきなりでビビった。


それは菜月も同じみたいで、一瞬ハッとした顔したくせに


すぐに真顔に戻してた。ポーカーフェイスが下手すぎる。


しかも寝てないでしょってくらいに腫れた目。


いつもはクリクリしてるおめめが小さくなってるし。


全体的に疲れてんなーみたいな。


俺は話しかけないでって言われてたことも忘れて


うっかり話しかけた。


…やっぱ菜月といる時間が一番しっくりくる。


話してる内容は至って普通なんだけど


居心地がいい。


だけど今は、菜月は陸先輩のもの。


それを全力で応援するって決めたから。


菜月は昔から俺に負けないくらいバカ正直で


俺が大丈夫って言えば大丈夫って思っちゃうくらい単純。


だから…


大丈夫。


陸先輩は菜月のことしか見えてない。


茜先輩のこと不安だろうけど、カラクリを知れば驚くよ。


今はまだ俺からは言えないけれど。


そもそも菜月はもっと自信持てばいい。


誰よりも性格良くて、可愛くて


おまえは世界一なんだから。


とか思ってたら、うっかり抱きしめちゃったけど。


これは下心とかそんなんじゃない。


失恋した俺からのささやかなエール。


ふとした事から、菜月は笑ってくれた。


それも大爆笑。


その顔久しぶりに見たよ。


ずっと笑顔見てなかったから


嬉しい。


その顔陸先輩に見せたらきっと喜ぶと思う。


この笑顔をもう独り占め出来ないんだよなーとか思うと胸が苦しいけど


菜月が笑ってたら、俺も嬉しい。


だからずっと、笑っててほしい。
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