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恋花火***side story
第29章 KOAKUMA
やっぱり茜先輩が好きなのは、菜月じゃなくて陸先輩だったのか……


「タケル君、本当にごめんなさい。」


今まで茜先輩が俺にいっぱい謝ってきてた理由がやっとわかった。


"陸先輩に菜月をプレゼントしたみたいに見える"


……おい、レン。


おまえの予想当たっちゃったぞ……


「ごめんなさい……」


陸先輩の気持ちを知っていた茜先輩は、菜月にくっついてる邪魔な俺を引き離すのが目的だった


「最低だよね」


本当に最低だよ


人の気持ちをなんだと思ってんだよ


「ごめんね……」


"陸だけは、普通に接してくれていた"


陸先輩は、茜先輩のたった一人の良き理解者だった。


誰も信じられない世界で


茜先輩にとって


陸先輩だけが信じられる人だったとよく言ってたな


それは俺にとっての菜月みたいなもんなのかもしれない


「タケル君……ごめんなさい」


気持ちがわかりすぎるくらいわかってしまう。


ここで怒れたらどんなに楽だろう。


菜月を返せ


そう言えたのなら。



「……っ、タケル君……」

「……いいでしょ?今日は俺を慰めてよ。いつもたくさん慰めてきたんだからさ……」


無防備な茜先輩を床に押し倒す。


悲しいような、今にも泣き出しそうな


どこに向けたらいいのかわからない怒りや虚しさを持て余し


目の前にいる茜先輩にぶつけた。


「……いいよ。全部あたしのせいだから。タケル君の好きにしていいよ。」


茜先輩が来ているボタンシャツを荒々しく開いた。


すると下着が顔を出した。


制服のスカートを捲り上げ


ショーツに手をかける。


もうめちゃくちゃに抱いてしまおうか


そう思った。


……けど


「……やっぱり無理…、出来ない……」


俺は菜月じゃないと


あいつじゃないと


茜先輩はまた泣いていて


気付いたら俺も泣いてた。


茜先輩にとっての陸先輩は


俺にとっての菜月。


自らを捨ててまで


陸先輩の幸せだけを願う茜先輩


そんな人をどう責められるっていうんだよ








その日は


朝まで茜先輩を抱きしめて眠った


怒りを感じてるはずなのに


同じ傷を抱えてるんだと思ったら、


なんだか安心して


夢も見ず、朝まで眠った。
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