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恋花火***side story
第29章 KOAKUMA
母親の痣を発見した数日後
鬼練を終えて帰宅すると
家の前で出くわした男にまた会った。
しかも今度は、家のリビングで。
「タケル君、初めまして…じゃないな。一度会ったことがあったね。」
そいつは俺の母親と目を合わせ笑った。
なにが面白いのか全然わかんねー
イラつく。
「あ、山崎さんコーヒーでも淹れますよ。座って座って!」
そいつの機嫌をとる母親にもイラついた。
「…タケル、この人ね…」
「今忙しいから、あとにして。」
そのあとに続く言葉は聞かなくたってわかってるよ。
恋人だとでも言うんだろ?
俺は自分の部屋に行き、持ってた学生カバンも部活のものも全て床に放り投げた。
…そしたらその弾みで、ベッドからドサッと枕が落ちた。
急いでそれを拾う。
それは菜月がうちに泊まるときに使ってた枕。
寝てるときに必ずよだれ垂らすから、菜月の枕にはいつもタオルを巻いておく。
派手な柄のタオルだと落ち着かないとか贅沢いうから、菜月のやつはいつも無地の薄い桃色のタオル。
無意識にその枕を抱きしめる。
するとほのかに香る菜月の匂いが鼻をくすぐった。
そうしたらやっと少しだけ冷静になれた。
リビングの方からは、何かが割れる音がした。
男の怒鳴るような声が聞こえた。
けれど俺は
聞こえないふりをした。
鬼練を終えて帰宅すると
家の前で出くわした男にまた会った。
しかも今度は、家のリビングで。
「タケル君、初めまして…じゃないな。一度会ったことがあったね。」
そいつは俺の母親と目を合わせ笑った。
なにが面白いのか全然わかんねー
イラつく。
「あ、山崎さんコーヒーでも淹れますよ。座って座って!」
そいつの機嫌をとる母親にもイラついた。
「…タケル、この人ね…」
「今忙しいから、あとにして。」
そのあとに続く言葉は聞かなくたってわかってるよ。
恋人だとでも言うんだろ?
俺は自分の部屋に行き、持ってた学生カバンも部活のものも全て床に放り投げた。
…そしたらその弾みで、ベッドからドサッと枕が落ちた。
急いでそれを拾う。
それは菜月がうちに泊まるときに使ってた枕。
寝てるときに必ずよだれ垂らすから、菜月の枕にはいつもタオルを巻いておく。
派手な柄のタオルだと落ち着かないとか贅沢いうから、菜月のやつはいつも無地の薄い桃色のタオル。
無意識にその枕を抱きしめる。
するとほのかに香る菜月の匂いが鼻をくすぐった。
そうしたらやっと少しだけ冷静になれた。
リビングの方からは、何かが割れる音がした。
男の怒鳴るような声が聞こえた。
けれど俺は
聞こえないふりをした。