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恋花火***side story
第30章 RUN RUN RUN
試合前日


連日の鬼練&レンとの自主練こなしてたら、寝坊した。


朝洗面所で歯磨きをしていたら、ドアが開いて母親の男が入ってきた。


「これから学校?間に合うの?」


時刻は8時過ぎ。もう完全に遅刻。


「遅刻はダメじゃない?」


はぁ?うっせーなてめーに関係ねぇだろ。


…という言葉を飲み込む。


仮にもこいつは母親の恋人なので、一応我慢しておく。


俺、本当大人になったよね。とか自分で思う。


「…涼子さんに全然似てないんだな。」


鏡越しに目が合い、そう言われた。


「…よく似てるって言われますけど。」

「父親似かな?」


そりゃ似てるだろ。


二人の子どもなんだからさ。


「知らなかったよ。こんな大きな息子がいたなんて。」


…それって


母親が俺の存在隠してたってこと?


少なからずもショックだった。


俺の存在はあいつにとって、隠すべきことなのかと


ショックだった。


その日は試合前日のため、部活は休みだった。


…よりによって今日休みとか…


けれど身体は疲れきってたから、その日は明日に備え


どこにも寄らず、まっすぐ帰宅した。


それが良くなかった。


家に着くと、玄関には色々な物が散らかっていた。


ゴミ袋がいくつも置いてあって、入りきらない物はそこらへんに無造作に放り投げられていた。


その中には菜月がくれたスパイクもあって、一気に沸点に達した。


「おい!あれ何だよババア!」


朝のこともあって、母親に対する慈悲なんか皆無で


怒りをそのままにリビングのドアを開けた。


するとそこには、とんでもない光景が広がっていた。


あいつが…母親の恋人が、


グラスを片手に、母親の上に馬乗りになっていた。


「ちょっ…何してんだよ!?」


俺は怒ってることも忘れて、そいつに掴みかかった。


「何って、お仕置きだよ。」

「はぁ?」

「君の父親に俺はなれない。」


何言ってんだこいつ?


俺だっておまえが父親とか死んでも嫌だし。


母親はそいつの下敷きになって


口と鼻から血を流していた。


俺はそれを見てカッとなり


無意識にそいつに拳を上げてしまった。




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