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恋花火***side story
第30章 RUN RUN RUN
二川原ちあきはすぐに来てくれた。


だけど飯はコンビニで調達してきたらしい。


「実は作れないの。」

「なんだそりゃ。」

「でも作れないっていうと引かれるかと思って。」


バレる嘘を吐く意味がわかんねー。


「でもお部屋の掃除はできるよ!」


そう言って片し始めた。


「…これって松下さんの服?」


掃除の途中、そう言っては何度も手が止まった。


菜月ともう関係は断ち切ったとはいえ、部屋の至る所に菜月の物があった。


「あーたぶんあいつの。」


自分でも忘れるくらい、菜月の物は自然にそこに存在してる。


「…ねぇ、松下さんと付き合ってたの?」

「だから付き合ってねーって。何回言わせんの。」


この質問もう何回目だよ。


いい加減聞き飽きた。


「じゃあ好きとかではないの?」

「そう。」

「今までただの一度も?」

「……うん。」

「あ。間があった。」


うざ。


もういい加減黙れよ。


だけど呼び出したのは俺だし、強く言えずにいると、



「私駆けつけたのにお礼もないの?試合も全試合見に行ったのに。」


確かに今日はお願いしたけど、試合見に来いなんか一言も言ってねぇ。


恩着せがましいにもほどがある。


「お礼ってどうすればいいわけ?」


例え物をねだられた所で買ってやる金もないけど、半ば投げやりにとりあえず聞いてみた。


すると返ってきた言葉は、「エッチしよ。」だった。
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