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恋花火***side story
第31章 冷たいキス
「…ごめん、やっぱ無理だ。」

「それってSEXが?別れようってこと?」


いつの間に俺たちは付き合ってることになってたんだよ


しらねーし。


よくドラマとか漫画とかで、自然に恋人になってるのが理想とかいうけど


自然どころか不自然すぎる。


「私は別れたくない。」

「…エッチ出来なくても?」

「いつか出来ればそれでいいや。」


そのいつかは永遠に来ないと思うけど。


「…それに、今タケル君はサッカーのことしか考えてないでしょ?大会が終わればゆっくり出来ると思うから…」


大会が終われば二川原ちあきとゆっくりしなきゃなわけ?


それこそ気が重い。


だけど家にいるのはもっと嫌だ。


「ね…いいよね?」


今の俺は、色んなことに疲れ果てていて


反論する元気さえ残っていなかった。


知らないうちに寝ちゃってて、夜中に目が覚めたときに


ふと気付くと右側があたたかいことに気が付いた。


…菜月?


目を開けると、そこにいたのは二川原ちあき。


この後に及んで、まだ希望を捨てられない自分にうんざりする。


まだ空は夜色。


喉が渇いてリビングへ向かうと


途中にある母親の部屋からは


聞きたくもない声が聞こえる。


母親は女だ。


わかっているけど、子どもの前で母親は母親でしかない。


女である母親なんか


見たくない。


吐き気がする。


俺は女という生き物が大嫌いだ。
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