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恋花火***side story
第31章 冷たいキス
「大石君の彼女可愛いじゃ〜ん」


夜、看護師が病室に来た。


「…彼女?」

「肩までの黒髪サラサラヘアの〜、小柄な女の子!」


二川原ちあきはショートヘアだし、割と背が高めだから


看護師が言っているのはきっと菜月のことだろう。


「初め病院に駆け込んだ時も、すごく心配そうにそばにいたもんね。ヒューヒュー!」


ヒューヒューて。年代の差を感じる。笑


看護師は病室を出て行く時に、「だけど病院ではエッチ禁止だからねー!」と、とんでもないことを言い残して出て行った。


…もしかして、あのキスシーン見られてたのかな。


結構長い時間してたし。


だけどよく見りゃわかるじゃん。


あれは一方的なキス。


俺のワガママな想いを一方的にぶつけただけの、独りよがりなキスだってこと。


それから一週間後に退院することが決まった。


「ご家族の方よろこぶね。」


医師や看護師は笑顔でそう言ってきたが、俺が帰って喜ぶ家族なんかいない。


それどころか…


嫌がると思う。

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