この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋花火***side story
第33章 パンドラの箱
何年経ていても


忘れるはずなんかない。


「…父さん?」


俺は恨んでるはずだったのに。


口をついて出たのは、求めるような、すがるような、そんな声で。


「今…、どこで何してんの…?」

「うん、雪がとても綺麗な場所にいるんだよ。」

「海は見えるの?」

「海はないなぁ。」


父親はそんな俺に、優しく語りかけてくれた。


「痛めた脚は大丈夫か?」


驚くことに、俺の脚の状態も知っていた。


嬉しかった。


両親たちは、実はまだ繋がっていたのか。


そう思って、嬉しかった。


…まぁそれは俺の完全な思い違いだったけどね。


人生そんなうまくいくわけない。


わかってるよ。


わかってるけど、希望持っちゃったんだよ。


ほんとバカだよな。








父さんは、唐突に俺に言ってきた。


一緒に暮らさないか?と。


でもそれは父さんの意志じゃない。


「…母さんを困らせてるんだって?」

「…は?」

「聞いたぞ。口聞いてないって。」

「それは…」

「ビックリしたよ。一昨日急に連絡がきて。」

「一昨日…?」

「母さんがそんなに嫌ならこっちに来ればいい。…新しい母さんと、弟がいるけどいいか?」



俺はそこで電話を切った。


笑いがこみ上げてくる。


なにが可笑しいかって?


…自分にだよ。


少し優しくされただけで期待してしまう


愚かで単純で


救いようのないバカだ。


母親は、そっと囁いてきた。


「タケルが心配で…、どうせここを出て行くならあの人のところがいいかなって…」


俺はそこらへんにあった物を、狂ったようにぶん投げた。


「やめて!タケル!」


母親の悲鳴が聞こえたが、気にせず続けた。


全部壊れちゃえよ。


あいつに壊されるくらいなら、俺がやってやるよ。


めちゃくちゃに暴れてたら学んだこと。


テレビも簡単に壊れるし


照明も簡単に割れるってこと。


そんで、窓は素手で殴ったら拳が血まみれになるってことも。


俺はこんな時


サッカーで使う脚だけは守ってきた。


けれど、今日は


母親が後生大事にしていた、父親に買ってもらったと言うドレッサーを


ひとおもいに脚で蹴り壊した。


そのドレッサーの前で女になる母親。


きもちわりーんだよ。
/285ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ