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恋花火***side story
第33章 パンドラの箱
数日後


その日は朝起きたらめちゃくちゃ寒くて


脚が痛んだ。


今日もリビングからは男の声と


そして女の声が聞こえてた。


「…雪。」


窓の外を見て、思わずひとりごちてしまう。


根雪ではないが、あたり一面白くなっていた。


雪が積もってはいるが、ジョギングは出来る。


…まぁそのジョギングは身体を鍛える目的ではなく、ただ家にいたくないがために続けているだけなんだけど。


ダウンジャケットを着込んで外へ出た。


外へ出ると、冬の匂い。


それってどんな匂い?って聞かれても説明は出来ないけど


東京でもこの匂いはするのかな。


「〜♪」


門から出ると、能天気な鼻歌が聞こえてきた。


…あいつってバカなのかな。


菜月が一人でふんふん歌ってた。


かと思えば、凍った水たまりを足で踏んでみたり。


ぼーっと空を眺めたり。


……可愛いなぁ、なんて思う。


相変わらず菜月が大好きな自分。


菜月のいない東京での生活は想像も出来ないけど…。


物心ついたときから側にいて


喧嘩をしていて、会いたくないなって時も、学校行けば会えた。


それがなくなるなんて


俺はどうなっちゃうんだろう。
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