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恋花火***side story
第37章 あの頃この頃*Riku
「陸ってそういうことしたりするんだ。」


エリカは驚いた瞳で俺を見た。


「…悪い?」

「悪いって言ってないよ。…羨ましいなとは思ったけど。」

「恋愛ボケしてて羨ましいって?」

「…陸、やっぱ可愛くない。」

「可愛くなくて結構。…エリカは、可愛くなったね。」


それはお世辞でもなんでもなくて、本心から出た言葉だった。前よりも笑ったり怒ったり、コロコロと変わる表情が可愛らしいと思った。


「そりゃどうも。」


ツンケンとした口調だけど、エリカは照れ臭そうに俯いた。


「そういうところも可愛いよ。」


これはほぼ冗談で言ったんだけど、エリカは本気で照れて、「やめてよー」と肩をパシッと軽く叩いてきた。


その瞬間、なんとなく頭にポッと浮かんだのは茜の顔。


…あとで茜に連絡しよっかな。エリカに会ったよって伝えたい。そんで、元気にしてたよーって教えたいし。


タケルの東京行きについても話したいことあるし、菜月ちゃんのことも_____


「…なんか上の空だね。」


言われてハッとする。


「ごめん。」

「ううん、いいけど。…彼女可愛いね。」


また、無意識に眺めてた携帯の待ち受け。


俺って馬鹿?


「…羨ましいよ、彼女が。」

「は?」

「気にしないで。…また、会ったら声かけてもいい?」

「うん。」

「ありがと。…じゃあね。」


そう言ってヒラヒラと振った手の先は、数年前みたいに派手なネイルは施されていなかった。


エリカは変わった。


…俺は、変わった?


エリカと駅で別れたあと、無性に人恋しくなって、俺は急いで茜に連絡をした。



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