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恋花火***side story
第37章 あの頃この頃*Riku
茜に連絡をしたけど、応答しなかった。


あんまりしつこいと茜はいつもあとから怒ってくるから、着信は一度入れるだけ。


…なにしてんだよ。


人恋しいなら、一応彼女でいてくれる菜月ちゃんに連絡すればいいんだけど…


最近は一緒にいると、辛いことの方が多いように思う。


…なぜって、その原因はわかりきってるけど…あえて深くは考えないようにしている。


その日は夜まで待っても茜から連絡は来なくて、もういいや寝ようって思った時に


茜から、着信が入った。






「おせー。おせーおせーおせー」


のっけから責めまくる俺に、「何の用?」と、茜は相変わらずなテンション。


「用事はなんだったっけ…」

「どうせくだらない用件でしょ。」


頭を捻っていると、ようやく思い出した。


「今日エリカに会った。」


そう告げると、てっきり驚くと思ったのに、茜は驚かなかった。むしろなんかテンション低すぎない?ってくらい、声が沈んでいる。


でもこんな時、"なんかあった?"とは聞かない。


茜はそういうのを嫌がる事を知っているから。


以前同じような事があった時にしつこく問い詰めたら、泣かれたし。そして怒られたし。知らないフリしろ!ってね。


知らないフリをするのが男だろってのが茜だから。


「陸暇なの?」

「忙しくはないかな?」

「あたし忙しいから寝たい。」

「忙しいのに寝んのかよ。」

「んー」


もしかして、テンションが低いのは眠いせい?子どもみたいだなと思って、自然に頬が綻ぶ。


「……二月の花火大会、菜月ちゃんと行くの?」


寝るとか言ってた茜が、いきなり質問をしてきた。それもまだ先の、花火大会の話。


「一応約束はしてるけど…」

「ふーん。」

「茜は?」

「タケル君と行こうかなー。東京行ったら会えなくなるし…」

「あーそっか。」


こんな時、ラッキーだとか、チャンスだと思ってしまう自分にほとほと愛想が尽きそうになる。
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