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恋花火***side story
第38章 真実*Riku
呆然としながらソファに座る俺の膝の間に、茜は割って入ってくる。


そして唇を求めてきた。


その動きはまるで恋人同士のように、自然に。


「ま、待って!茜!ストップ!」

「……陸がしようって言ったんだよ」

「言ったけど…!」


目の前にいるのは茜なのに、茜じゃないみたいだった。


ごめん、冗談だから。


そんな事言える様な雰囲気ではなかった。


「……いいよ、陸。しようよ。」


茜はすうっと息を吸ってから、告げてきた。


「あたしとエッチして、少しでも陸が前を向けるなら…抱いてよ。」

「…なに言ってんだよ。もっかい聞く。正気?」


茜は一呼吸おいてから、「正気」だと言った。


「……こんなに悲しんでる陸のこと……見たくない」


そう呟き、茜はそっと俺の頬に触れた。


「こんな風になるなら、陸に菜月ちゃんをあげるんじゃなかった_____ 」


……今、なんて言った?


「…どういうこと」


これ以上知らない方がいい。


茜はそう言いたげな表情をしていたが、不安そうな瞳が


真実を告げたいと訴えている様にも見えた。


頭の中の警戒音が鳴り響く。


けれど知りたい。


真実が、知りたい_____






「……あたしはタケル君が邪魔だった。タケル君がいたら、陸は菜月ちゃんと結ばれないもん」

「なんだよそれ…」

「……陸の笑う顔が見たかっただけ。ただ、それだけなの」

「なんなんだよ!」


じゃあ俺は


茜のお膳立てがあって、菜月ちゃんと…


まるでコネを使った様で…なんとも気持ちが悪い。


俺は初めから自分の力でもなんでもなくて


茜の思惑があって、それで_____




「……出てけよ」

「陸……」

「今すぐここから出てけよ!」


そしてこの時


俺は茜に対し、言ってはいけないことを口にしてしまう。


「…気持ちわりーんだよ」


言った瞬間、後悔をした。


茜は悲しそうに、今にも泣き出しそうに……小さく頷いて


目の前からいなくなった。




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