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恋花火***side story
第39章 大都会*Takeru
そのあとは、これから俺の居住地となる場所へと案内された。
下水の臭いが鼻をつく細い路地を抜け、ついたのは見た目にもオンボロなアパートらしき場所。
菜月んちも、俺んちも古かったけど。
これ戦前からあったんじゃ、と思うくらいに時代錯誤するほどの建物。
俺の部屋は二階の角部屋らしい。そこへ行くまでの廊下は薄暗かった。歩くたびに軋む音がして、埃が舞う。
部屋を開けると、説明通りに1K。錆の上がった申し訳程度の流し台とガスコンロがひとつついていた。
窓のサッシも、天井から吊るされている電灯も。全て埃にまみれてた。
_____ここで暮らすのか
正直なところ、この粗末な部屋に気が滅入った。
けれどこんな俺のことを拾ってくれた社長に、なんだかんだ言えない。
「困ったことがあれば、いつでも言ってくれ」
社長はそう言い残して、いなくなった。
窓を開けると、遠くに東京タワーが見えた。
テレビとか、雑誌で見たことはあるけれど。なんとなくそれは空想のものなんじゃないかって勝手に思い込んでいたが、実在していた。
窓からは、生まれ育った街よりも暖かく、そして潮の香りがひとつもしない風が流れ込む。
埃っぽい空気が少しだけましになったような気がした。
下水の臭いが鼻をつく細い路地を抜け、ついたのは見た目にもオンボロなアパートらしき場所。
菜月んちも、俺んちも古かったけど。
これ戦前からあったんじゃ、と思うくらいに時代錯誤するほどの建物。
俺の部屋は二階の角部屋らしい。そこへ行くまでの廊下は薄暗かった。歩くたびに軋む音がして、埃が舞う。
部屋を開けると、説明通りに1K。錆の上がった申し訳程度の流し台とガスコンロがひとつついていた。
窓のサッシも、天井から吊るされている電灯も。全て埃にまみれてた。
_____ここで暮らすのか
正直なところ、この粗末な部屋に気が滅入った。
けれどこんな俺のことを拾ってくれた社長に、なんだかんだ言えない。
「困ったことがあれば、いつでも言ってくれ」
社長はそう言い残して、いなくなった。
窓を開けると、遠くに東京タワーが見えた。
テレビとか、雑誌で見たことはあるけれど。なんとなくそれは空想のものなんじゃないかって勝手に思い込んでいたが、実在していた。
窓からは、生まれ育った街よりも暖かく、そして潮の香りがひとつもしない風が流れ込む。
埃っぽい空気が少しだけましになったような気がした。