この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋花火***side story
第39章 大都会*Takeru
隣の部屋の西条とは、それから毎日言葉を交わす仲となった。


この建物は壁が薄い。時折隣からは"あの時"特有の女の声が聞こえてきた。けれど何とも思わなかった。


母親の女の声と言うものはあれほど不快だったけれど。


そして俺は、西条と仲良くなってから、久しぶりに腹を抱えて笑った。


隣からよく聞こえてきていたその声は、実はテレビから流れるものだということがわかって。


「女?そんなんいねぇーし!」


ケラケラと笑う西条は、やはり自分と同じ歳なのだと思った。


明るい髪色と、堂々とした出で立ちから、なんとなく歳上ぽい容姿だと思っていたけれど。笑い顔は16歳だったし。歯が欠けていて、間抜けだと思った。


「おまえは?女いるの?」

「いない」

「今まで付き合ったことは?」


そう聞かれて、答えに迷う。


頭に浮かんだのは


そう、あの子の顔だけど。


俺たちは、付き合っていたのだろうか。


そもそも、付き合うってなんだよ?


何度も思い悩んだテーマが再び頭を駆け巡る。


きっと俺たちは、付き合ってはいなかった。


言葉もなかった。


ただの一度も。


「……ない」


そう答えると、西条は少し馬鹿にするような、小憎たらしい笑みを浮かべている。


「へぇ。じゃあ、これからちょっと、いいとこ行こうぜ」


そう言って、欠けた歯を堂々と見せつけながら腕を引いた。


薄暗い廊下から、明るいネオンの灯る街へと、俺を連れ出して。
/285ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ