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恋花火***side story
第39章 大都会*Takeru
西条はしばらく空を見上げ、何か考えているみたいだった。


空は先程まで茜色をしていたが、徐々に夜色になってきている。


「どっか入って飯でも食おうよ。俺、腹減った」


チェーン店の牛丼屋でも、と提案したところで。西条はニヤッと笑った。歯を見せずに。


歯を見せなきゃ、なかなかイケメンじゃんと思った。目は切れ長で、鼻筋がスッと通りバランスが整っているし。頬もシャープだ。


そしてそんなイケメン(風)の西条は、とんでもないことを言ってきた。


「おまえ行けよ」

「え!?」

「ナンパしたことねぇの?」

「ねぇし!」

「ださっ」


はぁ?


ださいと笑われ、元来負けず嫌いで見栄っ張りな俺は悔しく思った。


やってやるよ!と、とんでもないことを口走ってしまう。本当俺のこういうところ、短所だわと思いながら。


「あいつらイケるぞ」と、西条にマークされた女、これまた2人組を目掛け俺は一歩踏み出した。











_____って、無理!


話し掛けようにも、最初の一言が出てこない。


モタモタしてる間にターゲットは通り過ぎ、俺はその背中を呆然と見ていた。


西条みたいに、堂々と出来ない。


君たち暇ー?って、こんな忙しい都会で暇なわけねぇだろって思っちゃうし。


無視とかされたら、頭くるし。無視されんのは菜月だけで充分。ってほらまた菜月のこと思い出しちゃったじゃんアホ !


と、思っていたら。


「ねぇ」


なんか、高級感漂う品のある花の香りがして。


そうめんみたいにツルッツルな髪した女が、目の前に立ってた。


一応言っとく。


そうめんみたいにって、一応褒め言葉だから。俺なりの。

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