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恋花火***side story
第6章 青春のヒカリ
今日もまた、帰りが遅くなった。


そしてその翌日も、そのまた翌日も_____






「…なんか最近、おまえ痩せたよな?」


試合の数日前、スイにそんなことを言われた。


「……部活がハードだからじゃね?」


そうは言ったが、本当は部活のせいじゃない。


ましてや朝のジョギングは、結局一度も出来ていない。


連日エリカの要望に応えていたら、痩せてきた。


「大丈夫なん?相手のSBに抜かれるぞ。」

「…うん。」


言われなくてもわかってる。


たぶん俺は勝てない。


日に日に疲れがたまってきているし。


その疲れはきっと、SEXのせいだけではない。


"そんなの今日じゃなくたっていいじゃん"


"プロでも目指してるの?"


あの日のエリカの言葉が、頭から離れない。





試合の前日、朝礼のときに急に目眩を感じ


フラフラになって、そのまま保健室に行った。


熱をはかると、38度を余裕で越えていた。


…なにやってんだろ。


明日は大切な試合なのに。


だけどこれで今日は塾を休める…


そう思う自分もいた。





「陸」


俺は気が付いたら眠ってしまっていて、辺りは薄暗かった。


やべ、部活は!?


急いで保健室のベッドから飛び起きると、そこにいたのは茜だった。

あの日から一度も口をきいてない俺たち。


エリカが悲しむのも嫌だから、塾でも話すことを避けていた。


それは俺の勝手な事情なんだけど、茜はそんな俺に、「あの日はごめんね。」そう言ってきた。


…違うよ、茜。


茜はなにも悪くない。


ただ俺が都合が悪いから勝手に避けているだけで。


「あたし塾やめることにしたの。」

「え…?なんで?」

「帰りが遅いから、親が心配だって。」

「だったら…」


一緒に帰ろうよ。


その言葉は、言っちゃいけない。


俺は気が利かないバカだけど


それだけは言っちゃいけないことはわかってる。


「…陸は頑張ってね。」

「え…なにを?」

「勉強。志望校に受かるといいね。」


明日も試合頑張って_____


茜は笑ってそう言って


保健室をでていった。
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