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恋花火***side story
第7章 僕らはみんな太陽の下で
数日後


中体連の閉会式が行われた。


俺たちの中学は、三回戦敗退。


閉会式では、斜め前に大石タケルを見つけた。


なんか偉い人の挨拶の途中で、大石タケルがどこかを見つめていることに気がついた。


それも、なにか愛しいものでも見るような、優しい瞳で。


……そんな顔もすんの?


試合中は、俺らはもとより


チームメイトにすら啖呵切ってるような目をしていたのに。


大石タケルの視線の先には


先日大石タケルの隣で怒ったり泣いたり忙しい女の子がいた。


その女の子は視線に気がついたのだろう、えくぼを浮かべ満面の笑みで微笑んでいる。


_____羨ましい。


きっと世界中の全てが敵でも


その子だけはきっと味方でいてくれるのだろうと思うから。


彼と彼女は、同じ未来を見てる。


その証拠が、大石タケルの瞳。


真っ直ぐで


強くて


芯から一ミリもズレてない気さえする。




俺にもたった一人でいい


同じ夢を見られる相手がいるのなら








「……あ。」


会場から帰る途中の駅でまた、大石タケルとその女の子を見つけた。


「陸の知り合い?あ、あれ東三中の大石じゃね?」

「…そう。彼女なのかな…やっぱり。」


二人は手を繋いで歩いていた。


それもしっかり、何があっても離れないくらいに強く。


「だと思うよ。あの二人がギュッてしてるとこ俺見たよ。」

「えっ…、どこで?」

「俺らと試合する直前に廊下で。いいよなー」

「…へぇ。」




それは後にわかるけど、ルーティンというやつだ。


高校で再会してから


タケルとその子が試合前にくっついているところを見たことがある。












「…相原くん。」


駅には、エリカが待っていた。


「え、陸ダレ!?すげぇ美人!」


俺はエリカのことを、友人に言ったことがなかった。


それは親友のスイにも。


たった一人、茜だけには言っていたけれど。


エリカとのことは、なぜか言えなかったんだ。


理由はわからないけれど。



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