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恋花火***side story
第8章 プレゼント
郁が目の前に現れてからは、エリカといるよりも郁と過ごす時間が多くなった。


はじめは不機嫌になったエリカも、一度エリカに郁のことを紹介したら、怒らなくなった。


というよりは三人で過ごすことも多かった。


「あいつ料理下手じゃね。」


郁はエリカの料理にケチをつけた。


「いいんだよ。俺が作れば問題なし。」


昔から家事はそれなりにこなしてきていたから、料理も不得意ではない。


だからエリカの代わりに俺が料理を作ったり、二人でキッチンに並んで料理をしたり、楽しかった。


「相原くんの作るカレー大好き。」

「そ?なら良かった。」

「なんで野菜こんなに小さくするの?」

「海が…弟が野菜嫌いだから、小さくしなきゃ食べないんだよね。癖でやっちった。」

「そうなんだ。」

「ごめん、食べづらいよね。」

「ううん、とっても美味しいよ。」


このままこうして


何にも邪魔されずに二人きりでいられたのなら


どんなに幸せだろう。


そう思ったのも嘘じゃない。


だけど学校へ行くと、友達といるのも楽しいし


休み時間にサッカーするのもめちゃくちゃ面白かった。


…欲張りなのかな。


二兎を追う者は一兎をも得ず


現文で習ったことわざ。


まさしくその通りなのかもしれない。
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