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恋花火***side story
第8章 プレゼント
ドアは閉められて、鍵もかけられた。


中からは、痛いとか、やめてとか


物が落ちたような音が聞こえてくる。


「エリカ!」


何度も名前を呼んだ。


けれど名前を呼ぶたびに


男の怒りは膨らんでいく気がして


俺はその場に座り込んだ。


…無力だ。


なにもしてあげる事ができない。


もし俺がもっと大人だったのなら


もしちゃんと避妊をしていたのなら


たらればなんて意味がない
















"早く大人になってよ"


"待ってるね"


…エリカ


なんで俺たちは4つも離れてるんだよ


今すぐ鍵をこじ開けて


窓を壊してもいい


飛び込んで行けたのなら



…そんな勇気も度胸もない


エリカを守れる力なんか、


今の俺にはこれっぽっちもない。

























「…陸」


どれくらい時間が経ったのだろう


流れていた血もとうに止まった頃


エリカの部屋の前に現れたのは





俺のたった一人の兄だった。








「…エリカからショートメールが来た。」


いつのまに番号交換してた、おまえら


「陸のことよろしくって、ごめんなさいって…」


ごめんってなんなんだよ


なんでエリカが謝るんだよ


痛いのはエリカだろ


苦しいのは……









俺は今までの人生


色々あったけれど、こんなにも苦しかった日はなかった。


その日、初めて


声を出して泣いた。

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