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恋花火***side story
第11章 Takeru*海の声
将来を悲観していると、


「タケル〜」


俺を呼ぶ声がして


ハッと顔をあげると


今日のお天気に負けないくらいニッコニコの菜月が立っていた。


「お弁当作ってみた!」


菜月はボーッとしてる俺の隣の椅子に座り


テキパキとお弁当を広げた。


お弁当の包みの柄まで鮮明に思い出せる。


イチゴ柄。


「焦げたの。」


真っ暗な唐揚げ。


「そしてこれは破裂した」


なんか中身出てるウインナー


その他にブロッコリーに卵焼きがあった。


こんなたくさんの量、一体何時に起きて作ったの?


「タケルきっと一人だと思って!私も一人だから一緒に食べよ!おじいちゃん運動会のこと忘れてる〜あはは」


俺が一人で飯食ってて、誰も突っ込んでこなかったのに


菜月はストレートに切り込んでくる。


それに菜月も一人だというのに


ケラケラと笑い飛ばしていて、


なんかすげぇと思った。


メソメソしてる自分が恥ずかしい。



「美味しい?」


菜月はニコニコ〜ってしてて


なんかもう、それ見てたら悩みなんかどっかに飛んでった。


唐揚げを一口食べた。


確かに菜月の言う通り焦げてて、ちょっと苦い。


なんかガリガリするし。


だけど菜月のスマイルという最高の調味料と


一生懸命作ったんだなってのがバッシバシに伝わってきて


唐揚げもなにもかも全部


今まで食べたどんなものよりも美味しいと思えた。





「美味しい」

「ほんとっ!?え、嘘マズイじゃん!おえー」


おえーって。笑


菜月が全く食べないから、ほとんど俺が食った。


「食べてくれてありがとう。」

「いや、ありがとうってこっちのセリフ。本当ありがとう。うまかった。」

「どういたしましてー」


この瞬間


俺の中で菜月は特別な女の子になった。


ただの幼なじみ?


んなわけあるか。


たった一人


誰にも代えられない


特別な女の子。

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