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恋花火***side story
第11章 Takeru*海の声
菜月はその日、一度も笑わなかった。


「…おなかいたい…」


給食の時間、そう言って大好きな揚げパンも残してた。


今すぐバカにした奴ら全員張り倒したい。


けどそんな事をすれば、菜月はきっともっと笑わなくなる。


どうしたら元気になる?


ない頭を絞って絞って考えた。


「タケル君、廊下に出なさい。」


菜月のこと考えてたら授業聞いてなくて


先生に当てられたのも気付かず怒られた。


どいつもこいつも本当にコノヤローとか考えながら廊下に立った。


廊下に立ちながらボーッとしてたら


窓から、海が見えた。


…そういえば。


一昨年家族みんなで海に行った時、菜月がすげぇはしゃいでいたことを思い出した。


それに、俺の両親が離婚して、悲しくて菜月と海に行った時も


海見てたら俺チョー元気になったし。


それしかない!


「菜月!海いこーぜ!!」


教室のドアを開け大声でそう言った。


したら担任にめちゃくちゃ怒られた。
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