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文句言いっこなしの三重奏
第6章 カノン


『あはは、それは有難いっすね。』

『じゃあ決まりでいいかしら!嬉しいわぁ。』


文字通りはしゃぐほのりの母を前に、崇臣はチラッと僕を見た。一瞬だけど目が合うと、口の端を上げ、やけに爽やかな顔をした。


『はは、確かにすげー有難いんですけど…けどすいません。今日はおれ、遠慮しておきます。』


そしておもむろに、頭を垂れる。


『あら?!遠慮なんてしなくていいのよ?』

『いえいえ。おれも勇祐も、なんだかんだで気に入ってるんすよ、“三人一緒”。だからぜひ、今度は勇祐と一緒に、お呼ばれされいなーなんて。』


隣で、調子のいい笑顔と言葉を並べる崇臣に、目が点になる。
は……こいつ、何言って…?


『それにウチの冷蔵庫。残りもんがいっぱいで、片さなきゃいけないんですよ。あと母さんも、買い物して帰ってきちゃうかも知んないし。だからまた今度、改めてにしようと思います。』

『そう…そうよねぇ、色々ご都合だってあるわよねぇ。私ったらつい…急にお誘いしちゃってごめんなさい。また今度、二人揃って遊びに来てちょうだいね!ウチはいつでも、大歓迎だから。』

『はい、ぜひ!…な、勇祐。』

『えっ…ああ、はい。』


そこで話も一区切つき、それじゃあと挨拶を交わした僕達は、その場を後にした。



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