この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第6章 カノン
『あはは、それは有難いっすね。』
『じゃあ決まりでいいかしら!嬉しいわぁ。』
文字通りはしゃぐほのりの母を前に、崇臣はチラッと僕を見た。一瞬だけど目が合うと、口の端を上げ、やけに爽やかな顔をした。
『はは、確かにすげー有難いんですけど…けどすいません。今日はおれ、遠慮しておきます。』
そしておもむろに、頭を垂れる。
『あら?!遠慮なんてしなくていいのよ?』
『いえいえ。おれも勇祐も、なんだかんだで気に入ってるんすよ、“三人一緒”。だからぜひ、今度は勇祐と一緒に、お呼ばれされいなーなんて。』
隣で、調子のいい笑顔と言葉を並べる崇臣に、目が点になる。
は……こいつ、何言って…?
『それにウチの冷蔵庫。残りもんがいっぱいで、片さなきゃいけないんですよ。あと母さんも、買い物して帰ってきちゃうかも知んないし。だからまた今度、改めてにしようと思います。』
『そう…そうよねぇ、色々ご都合だってあるわよねぇ。私ったらつい…急にお誘いしちゃってごめんなさい。また今度、二人揃って遊びに来てちょうだいね!ウチはいつでも、大歓迎だから。』
『はい、ぜひ!…な、勇祐。』
『えっ…ああ、はい。』
そこで話も一区切つき、それじゃあと挨拶を交わした僕達は、その場を後にした。