この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第6章 カノン
『……なんだ、それ。』
『思い出の共有ってゆーの?そーいうのはさ、きっと三人一緒じゃなきゃつまんねんだよ。例えば、何か思い出し笑いした時に、一人だと面白くねーじゃん?おれらの場合、二人でもまだ足んなくて。やっぱ三人揃わないと、心から楽しくならないんだよ。』
あっさり言い切った崇臣の横顔が、何だか癪だった。何だか癪で…でも僕は、ちょっと嬉しくもあった。
『ふん…変な奴…』
本当は、崇臣の言うことはよく分かる。
ずっと三人だった僕らには、共有する思い出がいくつもあって。そして、これから経験していくことについても、それは同様であって欲しいもの。
今までも、これからも。
三人で共有する何かを、一つでも多く作っていきたい。きっと。…たぶんだけど、それは僕達三人の、共通の思いであるはずだ。